「途上国における災害早期警報システム(EWS)の効果的実装に向けての、国内での関連事例調査および提言書作成」のためのリサーチャー募集

JCC-DRRでは、途上国における災害早期警報システム(EWS)の効果的実装に向けての、国内での関連事例調査および提言書作成を担っていただける、研究者や市民活動家の方を募集しております。

詳細は募集要項をご確認ください。

多くの方からのご応募をお待ちしております。

募集要項(PDF:606 KB)


「途上国における災害早期警報システム(EWS)の効果的実装に向けての、国内での関連事例調査および提言書作成」のためのリサーチャー募集要項

1.概要
下記の実証事例研究を行うリサーチャーを募集する。

  • テーマ:早期警報システムの災害時の機能と人々の実際の避難状況や早期減災アクション、および国内・途上国それぞれにおけるより効果的な実装への課題
  • 調査地域:日本国内の、2019年以降に大災害が発生した地域
  • 募集人員:3名程度。共同調査ではなく、それぞれでの実施。
  • 調査実施期間:2023年4月~8月

2.背景

先般の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)では、2027年を目指して災害の早期警報システム(EWS)を全世界に普及させることが宣言され、世界気象機関(WMO)が作成した行動計画が発表された。計画では、途上国でハザードマップの作成など災害リスクの評価や啓発、レーダーの設置など気象現象の観測や予報の改善、リスク情報を伝達するネットワークの構築などを進めるとしている。

日本政府はこれに対し資金の提供を表明しているが、国際的に見た場合にはこれまでの経験などが豊富で、日本政府が提供する情報や技術が大きな影響力を有して、実際の整備に反映されることになる可能性が高い。ただしその内容は、技術的なものや保険制度などを中心としており、自助や共助をベースとしたコミュニティ・レベルでの実践の角度は弱いものとなっている。

一方、近年の日本国内の大災害においては、早期の警報が発せられていたにもかかわらず、迅速な避難が実施されなかった事例が多数見られる。その背景には、災害時要援護者の存在などの課題があったことが指摘されている。また警報を受け避難をした場合であっても、その後の避難所の環境が十分ではないことが少なくなく、「関連死」が少なからず発生している。避難所の課題はEWSとは別個のものではあるが、途上国での実装を考えた場合には、連動して視野に入れておくべきテーマではあると考えられる。

またさらに、日本の政府開発援助(ODA)において従来、EWS関連の機材が提供されたケースがあるが、コミュニティの文化に防災を根付かせる努力が不十分であったために、システムが機能せず機材が何年も放置されるといった事態も散見されている。

防災・減災 CSO ネットワーク(JCC-DRR)および加盟諸団体は災害に関して豊富な経験や知見を有しているが、その多くはコミュニティや災害弱者の視点に基づくもので、上記の課題について問題意識を有している。そうしたことから、昨今の日本国内の災害における「早期警報システム」の実効性・有効性および課題などについてリサーチを行い、提言をまとめることは、国際社会にとっても意義を有するものであると考え、このたびの調査を企画した。

本イニシアチブによって、EWSが国内外のコミュニティのレベルでより効果的に実装されるためには何が必要なのかを明確化し、それらを、防災関連の会議や次回のCOPなどにおけるインプットとして国内外で広く発表する意向である。

3.目的

日本における既存の早期警報システム(EWS)が、人々の避難にどの程度、またどのように貢献しているのか、また避難計画や警報システムが存在するにもかかわらず被害が生じている場合についてはその要因について、エビデンスを広く集め、EWSの効果的な普及に向けてのインプットの材料を集める。具体的には、警報を受けコミュニティとして迅速に対応できた例およびできなかった例の双方の事例を収集する。また都市部と山間部など、異なる社会背景の事例を収集することとする。

4.スコープ

  • 調査対象者:被災者、自治体・町内会、消防団、NGO・NPO、地方自治体や社協などの関係者
  • 調査手法:インタビュー、アンケート調査、文献調査など
  • 事例:1論文につき、1つの災害とする。災害関連情報の発信の制度は随時更新されてきているが、2019年に政府による避難情報などの発信の基準について更新があったことを踏まえ、それ以降の事例を対象とする。コンセプト・ペーパーに、災害の名称と対象地域並びに対象地域の選定理由を明示のこと。

5.応募資格
いわゆるアカデミアの研究者に限らず、NGO・NPO・CSO などの活動家、コミュニティ組織の実践家、教育者、あるいは非営利団体。

6.注意事項

本イニシアチブでは、早期警報システムが具体的にどのように人々の避難行動や早期減災アクションに寄与しているのか、あるいはそれを妨げる要因が何であったのか、データや具体的事例を用いて説明出来るペーパーを募集するものである。

各ペーパーの長さは、(1 ページ 40 行×40 字)15 ページ以上 30 ページ未満、和文とする。出典を適正に表示すると同時に、末尾に参考文献類のリストを掲載すること。但し、この公表について本人(当該団体)の同意を得られないケースでは、匿名性を適切に確保すること。

7.プロセスと締切

本イニシアチブに賛同し、リサーチ業務をしていただける方は以下のプロセスを踏まえたうえで、2 月28 日(火)までにコンセプト・ペーパーを提出のこと。

スケジュール案

2月28日(火) コンセプト・ペーパー(下記参照)を JCC-DRR までメールで送付。
3月14日頃 3名程度を選定し、JCC-DRR から内定者決定通知
3月下旬 内定者個人が団体の専従職員の場合、団体の同意書、もしくは本人の説明書の提出
本人(団体)との間で覚書締結
7月末 ペーパー提出。その後質疑応答プロセスあり、8月下旬までに最終化。
9月 JCC-DRRから振込予定(質疑応答プロセスの完了が前提。完了しない場合に は、謝金の一部もしくは全部をお支払しない場合があります)
10月 ペーパーを報告書にまとめる

8.選考基準と選考委員
下記の基準に基づき、ご提出いただくコンセプト・ペーパーをもとに JCC-DRRで選考いたします。

  • 調査する人/団体の実績と経験
  • 調査の独自性
  • 調査の論理性
  • 調査の対象地域

提出書類

  1. 氏名、履歴書、研究業績、ペーパーのアウトライン、連絡先を明記のこと
  2. コンセプト・ペーパー A4サイズ 2ページ程度。下記の論文の目次(案)を踏まえたうえで、コンセプト・ペーパーを作成のこと。

<論文目次(案)>

  • はじめに (調査概要の説明、問題意識の提示)
  • 事例の提示(成功事例/失敗事例)
  • 分析
  • 結論

9.謝礼と利用の承諾

  • 謝礼:30 万円(1件につき。調査委託金として。税込)
    (ただし 30 万円のうち約10万円相当は、調査のための必要経費相当分として一括してお支払いします。調査に必要な交通費、宿泊費、調査協力者への謝礼などの必要経費は、上記謝礼から拠出願います)
  • 利用の承諾:調査報告書は、本ネットワークによる使用を承諾するものとする。また、報告書提出時に、調査で撮影した写真も複数枚、データで提出のこと。

10.連絡先
JCC-DRR 事務局
東京都新宿区西早稲田 2-3-18 アバコビル 5F
特定非営利活動法人 国際協力 NGO センター(JANIC)内
(担当:小美野)